薄毛②(FAGA/FPHL)
女性の薄毛(FAGA/FPHL)
「最近、髪のボリュームが減って分け目が目立つようになってきた……」
「ブラッシングのときの抜け毛が増えて、髪全体のハリやコシがなくなってきた……」
薄毛や抜け毛は男性特有の悩みと思われがちですが、実は多くの女性も同じように深く悩まれています。
女性の薄毛は男性のAGA(男性型脱毛症)とは性質や原因が異なり、女性特有の薄毛はFAGA/FPHLと呼ばれています。年齢によるホルモンバランスの変化や生活環境など、さまざまな原因が複雑に絡み合って起こるのが特徴です。
「年のせいだから仕方ない」「女性だから恥ずかしくて相談しづらい」と諦めてしまう必要はありません。女性の薄毛も、正しい知識を持って早めに適切なケアを行うことで、髪の健やかさを取り戻すことが十分に可能です。
女性の薄毛とは?
まずは、女性の薄毛を表す言葉とその全体像についてご説明します。
FAGA / FPHLとは?
- FAGA: Female Androgenetic Alopeciaの略で、「女性男性型脱毛症(じょせいだんせいがただつもうしょう)」と呼ばれます。
- FPHL: Female Pattern Hair Lossの略で、「女性型脱毛症(じょせいがただつもうしょう)」と呼ばれます。(※近年では、女性の薄毛には男性ホルモン以外の原因も多いため、より広い意味を持つ「FPHL」と呼ばれることが増えています)
男性のAGAが「おでこの生え際や頭頂部から局所的に薄くなる」のに対し、女性の薄毛は「頭皮全体の髪の毛がまんべんなく、全体的に細くなって薄くなる」という特徴があります。そのため、一気に地肌が見えるようになるのではなく、なんとなく全体的にボリュームが減ってきたという形で気づくことがほとんどです。
女性の薄毛の症状について
女性の薄毛には、男性とは違う特有のサインや進行パターンがあります。
全体的にボリュームが減る
男性のように部分的に境界線がはっきり分かれて薄くなるのではなく、頭全体の髪の毛が細くなり、密度が低くなっていきます。
- 分け目や地肌が目立つ: 髪を分けたときに、分け目の線が以前より太くなったように感じたり、地肌が透けて見えたりします。
- 毛束が細くなる: 髪を一つに結んだときの束の太さが、昔に比べて明らかに細くなったと感じるケースが多いです。
- 髪型が決まらない: トップ(頭のてっぺん)がペタンと潰れてしまい、いくらセットしてもボリュームが出なくなります。
髪の「質感」の変化
髪の毛1本1本が細く、柔らかくなるため、髪全体のハリ・コシ・ツヤが失われます。新しく生えてくる髪の毛も元気がなく、十分に育たないまま抜けてしまうようになります。
代表的な薄毛のパターン
女性の薄毛の進行には、主に以下のようなパターンがあります。
●ルードヴィッグ型: 生え際は維持されたまま、頭頂部(てっぺん)から周囲にかけて、全体的に薄くなっていく最も一般的なタイプです。
●クリスマスツリー型: おでこの生え際から頭頂部にかけて、クリスマスツリーの枝のように、真ん中からじわじわと広がるように薄くなるタイプです。
●びまん性脱毛症: 特定の場所だけでなく、頭部全体の髪が均一に抜けて薄くなる状態です。
女性の薄毛の原因について
女性の薄毛の原因は、男性のように遺伝や1つのホルモンだけで説明できるものではありません。多くの場合、「女性ホルモンの減少」「加齢」「生活習慣の乱れ」などが複雑に絡み合っています。
原因①:女性ホルモン(エストロゲン)の減少
女性の体の中では、「エストロゲン」という女性ホルモンが分泌されています。このエストロゲンには、「髪の毛の成長を促し、豊かな髪を保つ」という大切な働きがあります。
しかし、女性ホルモンの分泌量は20代後半〜30代をピークに、40代以降(更年期を迎える頃)になると急激に減少してしまいます。女性ホルモンが減ると、体内にわずかに存在する男性ホルモンの影響が相対的に強まり、髪の毛の成長期が短くなって薄毛が引き起こされます。
【補足】出産後の抜け毛(産後脱毛)
出産した後に、一時的にゴソッと髪の毛が抜けることがあります。これもホルモンバランスの急激な変化が原因です。妊娠中に増えていた女性ホルモンが出産後に一気に減少することで、一斉に髪の毛が休止期(抜ける時期)に入ってしまうために起こります。通常は半年〜1年ほどで自然に回復していきます。
原因②:頭皮の血行不良と栄養不足
髪の毛は、毛根にある細胞が血液から栄養を受け取ることで育ちます。
しかし、加齢によって頭皮の血管が硬くなったり、冷え症などで血流が悪くなったりすると、髪の毛に十分な栄養が届かなくなります。また、無理なダイエットによる栄養不足も、髪の健康に悪影響を与えます。
原因③:過度なストレスと自律神経の乱れ
仕事や家事、育児、介護などによる過度なストレスや慢性的な睡眠不足は、自律神経(体の働きを自動で調節する神経)のバランスを崩します。自律神経が乱れると、血管が縮んで血行不良を招くだけでなく、ホルモンバランスにも悪影響を及ぼし、抜け毛の原因となります。
原因④:間違ったヘアケア
頻繁な白髪染めやパーマ、自分の肌に合わないシャンプーの使用、あるいは強い力でのブラッシングなどは、頭皮や毛根にダメージを与え、健康な髪が育つのを妨げてしまいます。
女性の薄毛の治療法
女性の薄毛治療で最も大切なのは、安全で適した治療を行うことです。
※注意点として、男性用のAGA治療薬(フィナステリドやデュタステリドなど)は、女性(特に妊娠中や授乳中の方)は絶対に服用すべきではありません。
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治療の種類 |
主な役割・効果 |
代表的なお薬・治療名 |
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外用薬(塗り薬) |
頭皮の血流を良くし、発毛を促す |
女性用ミノキシジル外用薬 |
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栄養素の補給 |
髪に必要な栄養や育毛成分を補う |
ビタミン、亜鉛、ケラチンなど |
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頭皮ケア・生活改善 |
ストレス軽減と頭皮環境の正常化 |
洗髪方法の指導、生活習慣へのアドバイス |
- 女性用ミノキシジル外用薬(塗り薬)
女性の薄毛治療において、医学的に発毛効果が強く認められている代表的な治療法です。
効果: 朝と晩の1日2回、薄毛が気になる頭皮に直接塗布します。頭皮の血行を促進し、毛根にある髪を作る細胞(毛母細胞)を活性化させることで、細くなった髪を太く健康な髪へと育てます。
ポイント: 女性向けには、安全性を考慮して成分の濃度を適切に調整したもの(一般的には1%〜2%濃度)を使用します。
- サプリメントなど ※令和8年8月現時点では当院でお取り扱いしておりません
髪の毛の主成分となる「ケラチン」や「L-システイン」、健やかな髪を育てる「ビタミンB群」などがバランスよく配合されたものが含まれているものがお勧めです。
- 生活習慣・栄養面のサポート
女性の薄毛はライフスタイルと密接に関係しているため、日々のケアを見直すことも治療の大きな柱となります。
栄養のバランス: 髪の材料となるタンパク質(大豆製品、鶏肉、魚など)や、女性に不足しがちな「鉄分」「亜鉛」を意識して取りましょう
睡眠: 成長ホルモンを分泌させるため、質の良い睡眠をしっかりとりましょう。
「髪は女性の命」と言われるように、髪のボリュームやツヤは、女性の若々しさや自信に大きく影響する大切なものです。だからこそ、髪が薄くなってきたときのショックや不安は計り知れないものだと思います。
女性の薄毛は、適切な治療を行うことで、年齢に関係なく改善が期待できるケースがたくさんあります。早めに治療開始することは、早期改善につながります。お気軽にご相談ください。
